1.トップラン物流は滋賀の新進気鋭のトラック輸送会社

有限会社トップラン物流は、いま勢いのある滋賀県の貨物運送業者だ。
所有する10トン車を駆使して、全国各地に貨物の配送を行なっている。

今回紹介する社長は、この物流会社を設立した岡田譲氏。現在、代表取締役を務める。

岡田氏は2004年、大手企業の製造工場がひしめく滋賀県愛知郡愛荘町で会社を設立した。
2011年、本社から車で10分かからない場所に、名神高速道路湖東三山スマートインターチェンジが開業。長距離アクセスが飛躍的に向上し、愛荘町は物流の要衝となった。お膝元であるトップラン物流の配送サービス需要は高まるばかりだ。

そんな会社を牽引する岡田氏は、気骨のある男。
休日は、趣味のバイクや車、日曜大工に時間を費やすと話す。これだけを聞くと、いわゆる“トラックの運ちゃん”のステレオタイプという印象を受ける。

しかし岡田氏が事業を軌道に乗せるまでには、さまざまな困難とドラマがあった。
今回は若くして起業した岡田氏の軌跡を紹介する。

2.起業のきっかけとこれまでの苦労

起業のきっかけ

岡田氏がトップラン物流の前身となる個人事業を始めたのは、18歳のことだった。
10代での起業の背景には、父の背中と大型トラックへの憧れがあった。岡田氏は6人兄弟。下から2番目に生まれた岡田氏は、幼い頃から大黒柱である父の運送業に興味を持っていた。子どもである自分の背丈をゆうに超える大きなトラックを運転する父の姿は、岡田氏にはなによりも輝いて見えた。

岡田氏は、小学校5年生の頃には、暇があると父の仕事について行くようになった。
父の運転するトラックの助手席に座り、貨物の積み降ろし作業等をよく手伝っていたという。

中学にあがると、岡田氏は車体を飾ったトラック(アートトラック)に興味を持ち始める。
「いずれは自分だけのアートトラックで仕事がしてみたい」という夢を抱くようになった。高校には進学したものの、高校1年の1学期の終業式後には、「今日で辞める」と担任に告げ、そのまま退学。その胸中には、運送業への並々ならぬ羨望があった。

「自分がやりたいことは学校の勉強ではなく、社会勉強だ」

意志は強かった。

しかし息巻いて学業から離れたものの、16歳の岡田氏には大型自動車免許はおろか、普通免許だって取得できない。
そこで岡田氏は、先に運送業の内情を知ろうと、家電配送の助手の仕事をはじめることにした。車の免許が取れるまでの間、雨の日も風の日も、白物家電の重みに耐えながら助手の仕事に従事。弱音は吐かなかった。いまでも岡田氏は「この時にいろんな事を学ばせてもらった」と語る。こうして中学を出たばかりの少年は、上司や配送先である顧客に鍛え上げられていったのだった。

そして18歳の誕生日を迎えると、岡田氏はすぐに普通免許を取得。
また、それまでに貯めた給与で、思い切って2トントラックを購入する。

奮発したとっておきの1台で、岡田氏は念願の運送業を開始。10代で個人事業主となった。
日夜、顧客対応も経理も全部自分ひとりで行ない、トラック1台で地域を奔走した。そんな若き岡田氏の姿に周囲の人々は胸を打たれ、次第に協力者がひとり、またひとりと増えていった。順調に取引先も開拓していき、車輌も追加購入できた。

「物流業界でさらに躍進していくんだ」

岡田氏は堅固たる意志を決めた。
そうして23歳の時、会社を設立。5台に増えたトラックでスタートしたのが「有限会社トップラン物流」だ。蓄積された経験と充実したトラックのラインナップ。満を持した起業だった。

これまでの苦労

しかしその先行きに陰りが見えたのは、事業開始から4年が経った頃だった。
当時の主力取引先が倒産。「もうだめです」の電話1本で1200万円の負債を抱えた。当時の売上はひと月に500万程度。歳入出を考えれば、簡単に返済できるような金額ではない。この時、岡田氏は27歳。目の前が真っ暗になった。

しかし若き経営者は諦めなかった。
「連鎖倒産だけは阻止しなければ」

岡田氏は失った主力取引分まで取り戻すため、いままで以上に仕事の確保や金策に走りまわった。
その結果、なんとか売上を確保。もうダメかと思われた危機を乗り越えた。この時、がむしゃらに業務に邁進して得た教訓がある。

「愚痴を言う前に改善の方法を考える」

自分の思考力が尽きるまで、苦しい状況の打開策を打ち続けた岡田氏だからこそ言えることだった。
大きな経営危機を脱したトップラン物流は、ひたむきな営業努力とサービス改善を続けて、さらなる事業拡大へと向かうのだった。

3.経営の主軸精神と今後の事業展開

岡田氏は、経営精神の主軸について次のように語る。
「経営理念でもある『物流を通じてお客様・社員に笑顔とありがとうを届ける』を実直に遂行していきたい。すべての人に、とはいかないかもしれないが、理想を追求し続ける。それが自分たちの言動の軸になると思うからです」

岡田氏は、10代から顧客の反応をダイレクトに見続けてきた。
顧客満足第一主義を掲げるのは、さまざまな艱難辛苦を味わった中で、それだけ重みを感じてきたからこそだ。

また今後の事業展開について、車輌増車のほか、自社倉庫の建設・保有も視野に入れている。目指すは「総合物流企業」としての発展だ。

しかし、岡田氏は発展の道行きの上で、企業理念と従業員の意識に齟齬があってはいけない、とも述べる。
「社員教育にもますます注力して、勉強会への参加も積極的に取り組んでいきたいと思います。今までの運送屋といった概念にとらわれず、会社全体で勉強し、新たな事にもチャレンジしていきたいと思っています」

岡田氏率いるトップラン物流と社員たちのさらなる飛躍が期待される。

会社情報

商号

有限会社トップラン物流

所在地
滋賀県愛知郡愛荘町蚊野366−4
代表者
岡田譲