はじめに

花まる学習会
「写真提供 花まる学習会」

”花まる学習会”という学習塾をご存知でしょうか?
思考力・読書と作文を中心とした国語力・野外体験を三本柱として、将来「メシが食える大人」そして「魅力的な人」を育てる学習塾です。
子育ての大半を母親が担う現在、「イクメン」と呼ばれる子育てに積極的な男性も増えてはきましたが、それでも育児に対する悩みをもつ人は多くいます。
特に近年は、社会の先行きも不透明な事から、子どもたちの将来を不安視する声も少なくありません。
そんな子どもたちの将来を憂いて、”花まる学習会”を立ち上げたのが高濱正伸氏です。
高濱正伸氏は、1959年の熊本県生まれ。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「国語力」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立しました。
当初は20人ほどの規模であった”花まる学習会”ですが、会員になった母親たちの助力もあり、設立23年目で会員数が20000人を超し、高濱氏が開く講演会などの参加者は年間30000人にのぼります。
では、20人ほどの規模からここまでの学習塾を作り上げるのに、高濱氏はどのような道を歩んできたのか? この記事ではその過程をご本人に直接伺ってみました。

高濱氏の生い立ちついて教えてください。

出身は熊本県人吉市。温泉で有名な山深い街です。
医師の父と元看護師で専業主婦の母、2歳上の姉と2歳下の弟の5人家族。甘え上手な弟と口が達者な姉との間で、あまり特徴のない子どもだったかもしれません。
恥ずかしがり屋であまりしゃべれない子どもでしたが、小3の時の担任の中務(なかつかさ)先生が自信を持たせてくれたことで、変わることができました。
子どもの頃は、毎日外で遊んでいました。野原を駆け回り、川で泳ぎ、クッタクタになるまで遊んでいました。そして、夏休みの宿題は決まって8月31日に焦ってやっていました。

子ども時代にお父様、お母様はどのような教育方針でしたか? またその方針に対してご自身はどのように思われていましたか?

両親から「本を読みなさい」であるとか、「勉強しなさい」などと言われたことは一度もありません。

父から「跡を継いで医者になれ」と言われたこともありません。いい意味で放っておいてくれる両親だったのだと思います。

「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、花まる学習会を設立されたと伺っていますが、立ち上げ時に大変だったエピソードを教えてください。

花まる学習会を立ち上げる前は予備校講師で食えていけましたが、太平洋戦争末期に壮絶な硫黄島の戦いを指揮して帰らぬ人となった栗林忠道中将のお嬢様に「一生をかけるに足るのは誰もやっていないことに挑戦すること。その方が面白いでしょ!」と背中を押していただきました。立ち上げて最初の3年は赤字でしたが、そのお言葉のおかげで乗り越えられました。

母親たちが場所探しから会員集めまでしてくれる形で会員数が増えたと伺っていますが、母親たちにそこまでの行動を起こさせた理由はどのようなことだったとお考えですか?

立ち上げ当時の私は理屈ばかりを言う理系男子でしたが、一生懸命だったので皆さんにかわいがっていただきました。
エネルギーと真剣さを買っていただいたのだと思います。
当時はわからなかったのですが、あの時、お母様たちが何を感じ取ってくださったのかは今ではわかります。

ご自身が実際に子どもを育てた時に学んだことを教えてください。

花まる学習会で毎月配付している「花まるだより」に私が子育てをして感じたことを寄稿しました。以下に抜粋して掲載いたします。こちらをお読みいただければ幸いです。

<前略>
そんな私に、重度の脳性麻痺で知的にも肢体も不自由な息子が生まれました。一般の子育てと同じくらいには大変でしたが、可愛いがる気持ちの方が勝って、とても幸せな日々でした。そんな私にあるひらめきが訪れたのは十年くらい経ったときでしょうか。「あれ? 俺は実にだらしない(何せ三浪四留。親の金で映画だ音楽だ本だ競馬だ囲碁だとのめりこんだし、初就職が三十三歳です)人間なのに、わが子が生まれてこの方、えらく頑張る人間だったぞ」という俯瞰した見立てが浮かんだのです。そうか! 個人として何ができるかばかり考えていたから出口が無かったのだ。息子は、単独では偏差値がつけられないほどの存在だが、私と組み合わさることによって、社会に対して仕事をすることができたんだ!
 パートナーとしてカチッと組み合わさったとたんに、二人で一つの大きな力となった。もっと言うと個人としては何もできないように見える息子が、ダメダメ人間の私を立て直し、無限大のエネルギーを注入してくれたのです。
 誰かと組み合わさって発揮するパートナー力。これが障がいの子の持つ大きな実力だと思っています。自分自身は何も化学変化しないけれども相手を活性化する触媒とも似ていますね。私は、恐らく妻というパートナーと出会うことで「遊び人から大分遠ざかった」し、息子が生まれたことで、心が整えられ大切なものを見失わずにすみ、ひたすらに頑張りぬけたのだと思います。テストの点数で順位付けし一直線上に振り分ける個人戦の思想に、私自身も洗脳されていたということですが、このことを思いついたときは、嬉しかったです。

(花まるだより2016年10月号「高濱コラム」より)

子どもの教育について今後新たに取組もうとしていることなどありましたら教えてください。

設立以来、「どんな子でも伸ばしたい」という想いは変わりません。今後は、これまで中々サポートが行き届かなかった「右上」のところ、さまざまな部分で秀でている層に対しての特別支援を進めたいと考えています。これについては、単に勉強というだけではなく、スポーツや芸術などの分野も含んでいく予定です。
また、国内だけでなく、海外の過疎地における教育にも力を入れ、人類レベルでの教育を受ける機会の均等化に貢献したいと考えています。

取材を通して感じたこと

ここまでのお話しで、高濱氏の教育に対する姿勢と、これまでの苦難の道について伺うことができました。

そして、この記事を書いて感じたのが、“高濱氏の教育に対する熱心さ”です。

他人から協力を得て、結果を出すには、その人に協力したいと思わせる魅力がなければいけません。特に、子どもの母親からそれだけ助力を得られるのは、ひとえに、高濱氏に確固たる信念と熱意があったからだといえるでしょう。

実際に、高濱氏の講演会を聞きに行った保護者からも、「お話の途中で涙が出てきてしまいました。母親の気持ちに寄り添ってくださっていることに心が動かされました。」や「毎回、何回聞いても『そうそう!』と納得させられます。母親になれてよかったなと思えました。」といった声が聞こえてきます。

このコメントこそ、高濱氏の教育に対する姿勢をあらわしていると言えるのではないでしょうか。

この記事を読んで、“花まる学習会”に少しでも興味をもっていただけたら幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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