目次
はじめに
株式会社ストライプインターナショナルは、アパレルの製造・販売を展開する会社です。
主力ブランドにアースミュージック&エコロジーがあり、多くの人が一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
現在は辞任していますが、創業者であり初代社長である石川康晴氏がストライプインターナショナルをこれほどまでに大きな会社へと成長した実業家として思考を追っていきます。
まずは、石川康晴氏とストライプインターナショナルの概要を紹介します。
実業家、石川康晴氏の概要
生年月日は1970年12月15日。岡山県岡山市に生まれ高等学校を卒業するまで岡山県で育ちます。
その後、専門学校に進学し紳士服のチェーン企業に就職しています。
ボーナスも含め稼いだ給料は貯金し、2年半で勤めていた会社を退職し、ストライプインターナショナルの前身となる会社を起業しました。
祖母の影響から洋服に興味を持ったことがきっかけで、中学時代通いつけの洋服屋の店員から洋服屋になることを推奨され、起業にいたっています。
起業後、経営者として活動しながら、岡山大学の経済学部経済学科の夜間コースに入学し通っています。
加えて京都大学大学院にて経営管理教育部経営管理専攻の専門職学位課程も修了するなど、とてもアクティブで探求心の強い人物であることがうかがえます。
その他にも活動していて、公益財団法人石川文化復興財団理事長や2014年起業家世界大会(モナコ)へ日本代表として出場、2016年度第18回起業家賞の大賞受賞、2017年度経済界大賞のライジング賞受賞など輝かしい実績を持っています。
ストライプインターナショナルの概要
1994年に石川康晴氏が岡山市に開店したセレクトショップであるCROSS FEMMEが発祥となっています。
2020年1月末時点で従業員数は3,632名、売上高が848億300万円ととても大きな企業です。
主に女性向けのカジュアル衣料の企画・製造・販売を行っており、展開しているブランドは「アースミュージック&エコロジー」、「グリーン パークス」、「アメリカンホリック」、「イェッカ ヴェッカ」、「メゾン ド フルール」、「コエ」があります。
子会社である株式会社キャンも、ストライプインターナショナル株式会社と同様に、女性向けのカジュアル衣料の企画・製造・販売を行っている会社で、主なブランドに「サマンサモスモス」、「サマンサモスモス ラーゴム」、「サマンサモスモス ブルー」、「エヘカソポ」、「テチチ」、「テチチ テラス」、「ルノンキュール」、「メランクルージュ」などがあります。
皆さんも耳にしたことのあるブランドやお気にいりのブランドがあるのではないでしょうか。
顧客となるターゲット層は、主に20~40代の女性向けの商品を展開しており、全国のファッションビルやショッピングセンターに店舗を出店しています。
また、アパレルの展開以外に飲食業態も行っており、ブランド「コエ」においては、「コエ ロビー」というカフェを展開、岡山においては「コエ ピザ」という屋外ピザを展開しており、ファッションだけにとどまらずライフスタイルぼ分野も手掛けています。
中でも注目のサービスに「メチャカリ」というアパレルのアブスクリプションサービスがあります。
このサービスは、洋服をレンタルすることができ、現代の需要とマッチしています。
石川康晴氏の創業当時とグローバルの視野を持つこととなったきっかけ
前述の実績を見ると想像できませんが、創業当時は右も左もわからず、だまされ続けていたようです。
ショッピング紙袋を仕入れる際に20円で仕入れることができるところ、業者から300円で買っていたというエピソードがあります。
経営が波にのり、世界中から選ばれた優秀な起業家たちの中から世界一を選ぶ大会が2014年モナコで行われ日本代表として出場しています。
結果的に世界一に選ばれたのはインドで、一緒に参加していた各企業の人々と苦い思いを経験します。
石川康晴氏はこの時が自分にとっての分岐点で「国内思考でドメスティックでグローバルの人たちから見るとまだまだ魅力のない人間、企業」だと感じ
グローバルな世界に目を向け始めたようです。
路線転換
大企業に成長させ、グローバルな展開を行った石川康晴氏が重要と考えていることとして「路線転換」をあげています。
石川康晴氏がストライプインターナショナルを経営してきた中で行った路線転換は以下とのことでした。
路線転換の一部詳細に触れていきたいと思います。
ファッション誌からCMへ
PR手法の転換として2010年にプロモーションのポートフォリオをファッション誌からCMへ変更しています。
きっかけは2009年に競合相手がストライプインターナショナルの商品模倣があり、既存店の業績が96%と低迷したことがありました。
それを受け、商品の模倣は、簡易的に行われてしまうため商品以外でのマーケティング戦略が必要と考えました。
当時のファッション業界ではやらないプロモーションを行うことを念頭においた際に、ファッションに興味のある人ない人、年齢幅が広いCMに広告を出すのはどうかと考えたそうです。
今でこそファッション業界のCMを見ることは当たり前ですが、当時ではなかなか挑戦的な試みで役員の半分に反対されたといいます。
そこで店舗の従業員に聞いたところ、ファッション業界への入社は両親に反対されたこともあり知名度が上がることは自身も両親もともに喜ばしいことです。と回答があり
テレビCMをやる意思決定になりました。
打ち出したテレビCMにも、一工夫がありました。
それは何のCMであるかわからないように作成したことです。
当時のCMには女優の「宮崎あおい」を起用し、「アース 宮崎あおい」、「宮崎あおい 歌う」と検索してユーザーが自分で情報収集するように仕向けています。
このCMは洋服屋のCMでどこにあってどんな店なのかというユーザーの心理をうまく掻き立ています。
これにより、実際来客数が増加し、プッシュ型でなく間接的に検索させることを意図した手法は功を奏しています。
当時として主流でなくかつ、ユーザーの心理を掻き立て導線を作るアイデアは素晴らしいと感じます。
さらにここから、データの分析を行い導き出し答えが認知度と売り上げの相関関係は5割までという答えです。
CMを打つ前の認知度は17%で売った後に80%となりました。
認知度が5割に達するまでは売り上げも一緒に伸びることがわかり、そこから先は経営判断によるといいます。
若者から全世代へ
石川康晴氏自身も感じていたことで、「宮崎あおい=若者」、「アースミュージックエコロジー=20代前後の洋服」という印象がありました。
わたしも前述のような印象を持っていたので次のデータを聞いて驚きましたが、実際の顧客データではロングテールで14歳から50歳までの年齢層の方々に利用されています。
ただどうしても、「若い洋服」という印象が強かったため、顧客データに基づき、ターゲットを若者から全世代に変更しました。
その時の取り組みとして10代には「広瀬すず」、40代には「鈴木京香」をアンバサダーとして起用し各世代にむけたマーケティングを行っています。
ここでわたしが感じたこととして、起用されたアンバサダーを見るとNHKに出るような人たちだと感じました。
つまり信用度の高い印象の方々を選出することで企業ブランドの向上が見てとれました。
ブラック企業からホワイト企業へ
残業こそ美学だとでもいうかのように黙って休日出勤や展示会のたびに深夜まで残業するデザイナーがいたようです。
特にテレビCMを打った2011年には多くの残業が見られたそうです。
企業を本当の意味で成長させるためには正しい組織にする必要があると感じ組織体質の改善が行われています。
どのようにして改善を行ったかというと段階的な改善を行っていました。
はじめの段階として、22時までの上限時刻を設定。
そうすると効率をあげることを意識することができ、1時間2時間の時間短縮を実現。
次の段階として21時までの上限時刻を設定。
利益を考えた上で最大限の従業員増加を行っています。
次に20時までの上限時刻を設定。
システムの導入を行っています。
店舗においては、自動釣銭機の導入を行い、閉店後の支出の誤差が起きないようにしています。
またレジオペレーションシステムの導入お客さんとのやりとりも3分40秒から3分20秒へ20秒の短縮を実現。
19時までの上限時刻を設定した際は、商品のタグにRFIDを用いて棚卸を効率よくできる仕組みを確立。
定時18時を目指したときは一番困難したようで18時30分に本社の電気を強制消灯を試みるも電気をつけなおすことが度々見られ失敗したといいます。
今や18時にはエレベーターが一番混在するようで実現の裏側では後述の取り組みを行っています。
経営者の役員が集まる役員会議3時間を90分へ、部長職が集まる戦略会議2時間を1時間へ良い会議も悪い会議も時間を50%カットしています。
また、横軸が利益の大中小、縦軸が業務時間の多中少という9つに分かれたマトリックス表を作成しています。
一番の理想は業務時間が少なく利益が大きい業務、一番理想から遠いのは業務時間が多く利益が少ない業務であることは明確で
後者をほぼ無くし、業務の断捨離を行ったといいます。
つまり、システムの投資導入、意識改革、会社として会議の削減、項数のあわないタスクの削減を繰り返していることが分かります。
頭ではわかっていてもなかなか実行できないことだと思います。
労働環境の転換により企業として離職率の低下、女性管理職の増加に繋がることも予想ができます。
2016年度から2017年年度の人事労務関連認定・表彰では以下のような賞も受賞していることから改善されていることがうかがえます。
まとめ
紹介した転換は一部ですが、このような改革ともいえる転換は理にかなっているが実行に移すには相当難しいことだと感じています。
組織の利益と体制、この二つを両立することは戦術と行動力があって初めて実現します。
既にストライプインターナショナルを退任している石川康晴氏ですが、0から会社を立ち上げここまでの企業に成長させた企業かの次なる試みが気になりるところです。
会社概要
社名 | 株式会社ストライプインターナショナル |
所在地 | 〒700-0903 岡山県岡山市北区幸町2-8 |
設立 | 1995年2月 |
公式サイト | https://www.stripe-intl.com/ |
事業内容 | レディス・メンズ・キッズウェアの企画・製造・卸 カフェショップ運営 |

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